今季の冬マグロ回想 by ACE

冬季の玄界灘のメインベイトは抱卵したスルメイカと水温低下により南下してきたサンマ
サンマがベイトのときは飛沫を上げサンマを空中高く跳ね上げ、勢い余って全身を海面から現し派手に追い回す
これを船長が読みと巧なポジショニングによってキャスティングレンジに入れてくれたら千載一遇のチャンスとなる

 
 

2014年1月

 

海鳥たちが何処からともなく集結し始め、慌しく殺気立っている
そこを見逃さない船長が船首を旋回し臨戦態勢に入った途端、サンマが逃げ惑いマグロが逃げ道を塞ぐ
サイズ1は80~120K
まさしくキャスティングレンジでド派手に上記の光景が繰り広げられた

 

ここでシンキングペンシルをキャスト&フォール
このフォールの数秒が興奮度MAX
しかし、海面を切り裂くラインの疾走はない

 

この時点でナブラは終了
1キャストで決めきれずタイミングを逃し船長の苦労に報いることが出来ず自己嫌悪に陥った今季の1月
今となっては【タラレバ】だが、振り返るとここが今季を決める1投だった
このように、サンマナブラはマグロとアングラーの興奮度は高いが一瞬の勝負で終わることが多い
それと比較するとストーキングしてタイミングを計りキャストするイカパターンと呼ばれるイカベイトはキャストチャンスの回数が多くとれる
チャンスが多ければヒット数も比例する
このことから七里ヶ曽根でマグロを追うアングラーはイカ玉の出現を毎年願っている

 

マグロに追われて真っ赤な興奮色で海面上にエンペラを出したイカ玉を見つけたときは、呼吸は浅く速くなり視野は狭まりアングラー側も興奮の極致
ここまでのことは冬季の玄界灘でのマグロゲームを経験したアングラーは幾度が遭遇しているのではないかと思う

 

しかしここ数年、特に今季と昨季の冬はマグロが海面から『エンペラを出した』イカ玉に突進し水柱を上げるボイルシーンが少ない

 

追われて海面にエンペラを出したイカ玉に突進するマグロのボイルシーンではなく、巨大な体躯を横に向けギラギラさせながら
水面直下を玉になり水平方向に泳ぐイカを水中でつまみ喰いするシーンに数多く遭遇したのではないだろうか

 

イカ玉の下に付くマグロの数が少ないとマグロ同士がイカを奪い合う必要がなく お腹がすいたらまるでソファーからテーブルに手を伸ばしジャンクフードを口にするような【ヒト】のごとく 抱卵したスルメイカを水中でつまんでゆく
ナブラ撃ちを主とするやり方では この類のボイルシーンは手強い

 

今季のマグロ釣行で姿は見ているが、ヒットに至らない状況とはこの状況が続いていて、サンマナブラの自己嫌悪とキャストしても海面炸裂しないイカ玉に手を焼いていた

 

船長や各アングラーが極寒の中、キャビンから出て苦労して見つけたイカ玉がこれだと期待値が高いぶん失望も大きい
それが最後の釣行で冒頭の海況だと誰もキャビンから出なくなり、あるヒトはキャビンシートで船を漕ぎ、あるヒトは終日ジャンクフードを口に運ぶ船内となっていた

 

沸かない七里ヶ曽根
大きな水溜りに船を浮かべているようだった
それでも船長は潮目を注視し海鳥を追いチャンスを探す
どんなに不毛と思われる状況であっても

 

しかし、その想いとは裏腹に時間だけが無常に過ぎあと30分で沖上がりの時間となった
無念さが滲む「ちょっと向こうを偵察して何もなければ引き返して帰りましょう」というようやく絞出した船長の言葉に我々は頷くほかはなかった

 

玄界灘特有の三角波が船首を叩く
船長の言う「ちょっと向こう」は過ぎた
船首をターンし引き返すことは今季の終了を意味する

 

断腸の思いでターンし 各アングラーに今季終了したことを旋回で告げる

 

各々の中に今季の【タラレバ】がよぎり重いキャビン

 

そこに船長の「ん?」と発した台詞から始まった
エンペラが立つイカ玉

 

全員が飛行機からスカイダイブするクルーのように次々とキャビンからフロンとデッキへと飛び出しキャスト&ヒット
次を掛けるためゴリ巻き
フックを外すヒマはない
リーダーを掴み抜いたら別のタックルを握り船を着け直す際もターゲットから目を離さずストーキング&キャスト
これもヒット&抜き上げ

 

時間にして僅か10数分
一瞬、輝きを放った七里ヶ曽根
その輝きを掴めるかどうかは紙一重
結果が全てのような風潮に違和感を感じるが、結果だけのことでいうとこの瞬間にヨコワと寒鰤を10数本

 

この日の事前情報としてはネガティブ要素満載で、ナブラの状況も前述の通り、天候は良くない、周りの船はいなくなり心細い
ココロが折れそうな状況だが、誰1人帰ろうオーラを出さず、キャビン内で熟睡することもなく願望にも近い希望だけは消さずに挑んだ結果、最後の最後で掴めた七里の至宝

 
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2014年2月初旬
北部九州の七里ヶ曽根
船は佐賀 呼子港のサンライズ

 

この冬季戦績はマグロの姿は見れているが、ヒットに至らない状況
今回が冬季シーズン最後の釣行

 

天候 雨
気温 9℃
風速 7m
遊漁船は数隻
海面に追い上げられたベイトをいち早く察知する海鳥たちは皆無
マグロ漁が最盛期のはずの七里にマグロ漁師はわずか
5年前なら100~150隻はいた
チャンスを窺うためのポジション取りに苦労していたほどだった
わずかにいた漁師と遊漁船も昼過ぎには見切りをつけたようで1隻1隻 帰港していった
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